ドバイ・ショックの震源地である政府系持ち株会社のドバイワールド
ドバイワールドは海岸の不動産開発を主に手掛ける不動産デベロッパーのナキール、世界的な港湾管理会社のドバイ・ポーツ・ワールド(以下、DPワールド)などを要する持ち株会社。
今回私はそのドバイワールド傘下企業の1つで世界的な港湾管理会社のDPワールド社を2月上旬に訪問したので、その時の様子をレポートしていきたい。
まずDPワールド社のこれまでの歩みをみてみると、2005年にドバイ港湾公社(DPA)とドバイポートインターナショナル(DPI)が統一して誕生しています。その後07年11月に資金調達のためナスダック・ドバイ(NASDAQ Dubai)に23%の株式をIPO(新規株 式公開)して上場を果たしています。
現在DPワールドの株主構成ですが、IPOされた23%を除く残りの77%を現在ドバイワールドが保有しています。※尚、DPワールドは業績が非常に好調なためドバイ・ワールドの再建対象リストからは外れています。
なお、この現在ドバイワールドが保有している77%の株式のうち5%前後をロンドン証券取引所にIPOする予定もあり、今後世界の投資家がさらに取引をしやすい環境になることが見込まれています。
DPワールドの主な事業は船会社にコンテイナーの積み下ろしを供給することで、中東最大級のコンテナターミナルであるドバイのジュベル・アリ港を拠点に活動しています。
DPワールドの概要
05年の設立以降DPワールドは中東に限らず世界各国で事業を展開するために世界各国の企業をM&Aしたり合弁企業を設立し、世界28カ国・48ターミナル以上で活動をしている世界第4位のオペレータに成長しています。(07年のマーケットシェア)
この分野で世界のトップシェアはシンガポールのPSAで約10%、対してDPワールドのシェアは約6%となっていて世界トップ5の企業で世界シェア50%を握っています。
さて、ここまでDPワールド社の概要について触れてきましたが、実際に現地(ジェベル・アリ港)を訪れての感想としてはその規模の大きさに驚きを感じました。また湾内は非常にセキュリティが厳しくDPワールドの社員から写真撮影禁止が言いわたされていたので残念ながら施設は外からしか撮影することができませんでした。
このジェベル・アリ港、世界で第6位の貨物取扱高を誇る大きな港で世界第5位までは上海や香港、シンガポールなど全てアジアの港が制覇しています。
DPワールドの社員による話ではジェベル・アリ港に到着する貨物の半分は再度梱包されて船に載せされて世界各国へ搬送されるということで、ドバイが物流のハブになっていることを伺わせます。
実際ジェベル・アリ港におけるDPワールドの活動場所を見学すると、そこは巨大なクレーン(ガントリークレーン)がこれでもかという程に並んでいる風景。
これらクレーンの中でも特に巨大な物は同時に4つのコンテナを運ぶことができる代物で1基約20億円するとのこと。
クレーンは中国企業で世界最大のコンテナクレーンメーカー「上海振華港口機械有限公司」(以下“ZPMC”)が開発・納品していますので、これを見て上海振華の株も買ってみようかと思ってしまうほどでした。
ジェベル・アリ港に関しては、今後さらに物流のハブとしてその機能を大幅に引き上げる予定になっていて現在ジェベル・アリ港近隣に建設中の新国際空港「ドバイ・ワールド・セントラル」が完成すると、空港と港が専用船で結ばれるという計画になっています。
ドバイ・ワールド・セントラルは、4km級の滑走路が6本平行に建設される予定でエアバスのA380級の機体が同時に6機発着できる日本では考えられない規模の空港で現在、2本の滑走路が完成しています。
DPワールド・ジェベル・アリ港ともに今後とも物流のハブとなっているドバイを中心に世界へ貨物を運ぶことで成長が期待されます。