日経CNBCで「ジム・ロジャーズが語る世界経済と金」という番組が放送された。
この番組では、シンガポールに住むジム・ロジャーズのもとへ金の専門家であるワールド ゴールド カウンシル日韓地域代表 豊島逸夫氏と日経CNBCの江連裕子キャスターが伺ってインタビューしたものの一部。
ジム・ロジャーズ氏へのインタビュー内容
今回のインタビューは基本的に金に着目したインタビューであるので金関連の話が多く出てきていた。
金投資について
江連:実際に金はお持ちなのでしょうか?
ジム・ロジャーズ:金は持っています。長年金を保有していますが、まだ一度も売った事はない。
豊島:もしかして娘さんたちにの誕生日に金貨をプレゼントしているんですか?
ジム:娘達は金貨も銀貨も持ってますよ。
ジム:金を保有する方法はいろいろありますが、私は金貨や金ETN/ETFを保有しています。先物も取引しています。いつか金がバブルになったら売ることになりますが、何十年も保有してきたので、バブルになるまでは売るつもりはありません。
江連:つまり今はバブルではない?
ジム:そう、過去の金の高騰ぶりをみれば2000$は超えると思っています。どれほど上がるかは誰もわかりませんが、この10年で確実に2000$は超えると思っています。それまで私は金を売りません。
豊島:円高はこれからも続くのでしょうか?また日本国債についても意見を聞かせてください。
ジム:私は日本円を保有しています。さらに円高になるまで売るつもりはありません。何かかが起これば別ですが、私は1995年につけた最高値をかなり上回って更新すると思っています。
豊島:米ドル、ユーロ、人民元、円どの通貨が一番いいと思いますか?
ジム:投資について話す時に「安全」という言葉は使いたくないが、中国の人民元が投資という点ではたぶん一番安全と言えるかな。これから先何年も上昇すると確信している。人民元の一番の問題点は気軽に売買できないことかな。でも通貨の中では一番好きな通貨だね。
新興国について
豊島:去年新興国の市場に向かっていた資金の半分が引き上げられ、先進国市場に戻ってきているようです。このようなグローバルの資金の流れをどう捉えていますか?
ジム:私は株を殆ど保有していない、新興国株も売ってしまった。日本の株は少し買い足したところだ。しかし、私のポートフォリオは殆ど商品と通貨で構成されている。もし世界の景気が良くなれば商品が品薄になり、それで利益を挙げられる。景気が悪ければ株では利益を挙げられないが、商品では利益を挙げられるかもしれない。なぜなら政府が景気対策のために資金を注入するからね。歴史的に見て国がお金を刷る時には実物資産がよくなるんだ。銀やコメ、天然ガスなどね、だから私のポートフォリオは商品と通貨で構成されていて株にはあまり関心がない。日本株はいくらか買うけれど、新興国株は保有していない。なぜなら、新興国は今皆が群がっているからね。
債権投資についての見解
国債に対する見通し/投資戦略。そして気になる日本についての見解は?
豊島逸夫:債券はどうですか?
ジム・ロジャーズ:債券については楽観視していない。1981年から債券はすっと強気相場だった。でもそれが終わりに近づいていると思っている。私は米国債を ショートしようと思っている。2週間前にはエジプトの件もあって米国債を買い戻したが、今はまたショートする機会を伺っている。米国債こそ最大のバブルの 1つだ。
豊島:米国債の次は?
ジム:全てのペーパーマネーの信用は失墜している、国債もね。いずれ私たちは全資産を実物資産に置き換える日がくるかもしれない。金や銀、コメ、砂糖、天然ガスにね、ペーパーマネーの信頼が本当にゆらいでいる。だから金を売ってはだめなんだ。
豊島:3〜5年後には日本の累積赤字と個人金融資産(現在は約1400兆円といわれ、年々減っている)が逆転するでしょう。そのとき、ドルやユーロと円の関係はどうなると思いますか?
5〜10年以内に日本は非常に深刻な事態に陥る
私は円を保有しているし、しばらくは保有し続けるつもりです。また日本の株ももっていますし、買い増しもしています。しかし、5〜10年以内に日本は非常に深刻な事態に陥り、私は保有している日本関連の資産をすべて手放しているでしょう。
豊島:改めて、金を含めた貴金属のお話をしましょう。プラチナ、パラジウム、銀の動向は?
ジム:この方面は得意じゃないが、この先数年全ての貴金属は上昇するでしょう。それは疑いようがない。私は全ての貴金属を保有しているが今は売るつもりはない。もし価格が下がったら、その時は買い増そうと思っている。金は1000$まで下がったら買いますよ。
豊島:中央銀行が金を購入し続ける限り強気相場だろうね
ジム:それに中国人だ。中国人は何十年も金を購入できなかった。今やっと購入できるようになり政府も購入を奨励している。13億人もの人がいて、金 や銀、その他貴金属を買っている。だから私は金を保有し続けるし、売るつもりはない。どんな貴金属も明るい未来がまっている。だからタイミングさえあれば 買い足したいと思っている。
ジムは相変わらず、日本メディアの取材に大しては日本株についてコメントしますね。それも大体買ったということを・・
ジムの話は(少なくとも日本で聴く話は)半分本気で半分リップサービスというかポジション・トークとして自分は聴くようにしています。
さて、2009年には中国株やスリランカ株について触れた事もあったジム・ロジャーズですが、最近はもっぱらコモディティ中心ということが改めてわかるインタビューでした。